この夏に着る水着を買いに来ていた私は、思い切って一着のビキニを手にレジへ向かう。
来週、クラスの仲良しグループで、海水浴に行くことになったんだけど、私が密かに憧れているT君も一緒なの。
この悩殺水着でノックアウトさせちゃうつもり。
水着を手にし、家に帰って来た私だが、ふと不安になってきた。
本当にこの水着で勝負になるのかしら?
自分では十分だと思ったんだけど、実際のとこ、どうなんだろう。
今、私は気分がかなり高揚しているから客観的に見ることができない。
居間に入ると弟がテレビを見ていた。
あっ、そうだ、いいこと、思いついた!
弟に私の水着姿を見てもらって判断してもらおう。
昨年の秋のことです。
私はある温泉街の小さな旅館でバイトをしていました。
お客さまのほとんどがお帰りになって、私は風邪気味もあって布団部屋で寝ていました。
そのとき、隣の部屋から声が聞こえました。
当時、受験期で、同じ塾に通っていたアヤコさんは、俺とは別に付き合っているわけでもなければ、特に親しい友達でもありませんでした。
中2の時にアドレスを聞かれ、それっきりたいした連絡もとっていませんでした。
しかし中3の秋には、2日に1通くらいの頻度でメールをするようになりました。